今晩はアナウンサー試験受験中のTくん、
声優養成所を目指すOくん、Kくん、Sくんの男性カルテットに、
初回見学できてくれた、20歳の女の子Aさんという豪華な顔ぶれになりました。
基礎をみっちりやるために、一通り発声をした後、
全員が通しで外郎売りの台詞を読んだのですが、
今日は初めての人がいたので、外郎売りの台詞そのものの話をみんなにしてみました。
外郎売り。
むさしの芝居塾では必ずと言っていいほど話題に出てくるものですので、
読んでくださってる皆さんはもう、かなりご存じだとは思いますが、
知らない方のために、簡単にご説明を。
外郎売りとは、歌舞伎十八番の一つで、代々市川団十郎家に伝わる演目です。
しかし、その台詞の内容が滑舌練習に持ってこいなもので、
我々アナウンサーや、役者さんで、やったことが内人はいないほどポピュラーなものです。
内容は、小田原にあるういろう屋さんの売り子さんが、
江戸の往来へういろうを売りに来て、売り口上を述べるというもので、
ういろうという薬のプロフィールから、効能、そして、実際に飲んで、
驚くほど口が回り始めたと言うことで、早口言葉が延々と続くというものです。
で、この早口言葉の部分、一見何の意味もない言葉遊びのように見えますが、
一部にとっても深いことを示唆しているものがあります。
たとえば「サタラナ舌にカ牙サ歯音、ハマの2つは唇の軽重」という一文がありますが、
これは50音を発声するときに注意すべきことを言っています。
そのほかにも、江戸時代に作られた演目ですので、
今に伝わるもの、今の若い人たちには縁のない言葉が続々と出てきますが、
意味がわかると、全く知らないものではなく、
「おばあちゃんちにある!」とか「見たことある!」と言って盛り上がることができます。
どんな台詞にしてもそうですし、
我々が読むニュース原稿などでもそうですが、
内容を理解して、状況が目に浮かぶようになると、
読む心境や、台詞の回し方が変わってきます。
内容を理解した彼らが、より興味を持って、外郎売りで滑舌練習をしてくれれば、
きっと上達する近道になるでしょう。
演ずること、しゃべることというのは、単なる技術だけではありません。
内容を知って、内容を伴和競ることで、人としての肥やしになり、
人間としての奥行きがでれば、自然に、しゃべりも演技も変わってきます。
そんな、すてきなしゃべり手がむさしの芝居塾から出てきてくれればうれしい限りです。
皆さんも、一緒にいろいろな勉強をして、
人間としての内容の伴った言葉の使い手を目指しませんか。
アナウンサー志望、声優志望の方はもちろん、
社会人として、すてきな言葉の使い手になりたいという方のご来塾もお待ちしています。
むさしの芝居塾スタッフ
- 「声のいい人って輝いてみえます!人生をキラキラにしましょう!」 元文化放送アナウンサー。現在はNACK5のプロ野球中継などTV、ラジオで実況アナウンサーとして活躍中。正しく美しい発声法で、長時間出し続けられる貴方だけのいい声を、一緒に探しましょう!
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